アメリカの大学教育の危機的状況

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 超大国アメリカの影響力が低下している。しかし、その影響力は現在でも世界トップであることには変わりはない。しかし、今後のアメリカの存在を脅かす危機はアメリカ国内から生じている。
 次世代を担う若者の環境が厳しい状況になっている。その舞台の一つである大学が、深刻な問題を抱えているからだ。
 国の将来を担う若者を育成する場の一つといえる大学。その大学の存続に黄色信号が灯っている。つまり、大学の経営が厳しくなり、学生達への負担も大きくなっている。
 金融危機の影響で、大学は政府予算の削減や大学への寄付金の減少により、厳しい状況に陥っているという。大学側は設備投資の拡大や役員や著名な教員への報酬の拡大などを行い、優秀な学生を集めようとする。その結果、授業料の値上げにつながり、学生の学費のやりくりが厳しくなる。

学資ローンでやりくりしていたが…

 金融機関は学資ローンを証券化して投資家に売り、投資家はそれを株と同じように売買。この仕組みが結果として、さらなる融資を生むというサイクルが成り立っていた。大学の学費を賄うため、この金融ブームによって生み出された一連の金融商品に頼るようになっていたが、金融危機後、その規模は縮小したか、消滅へと陥った。
 それでは、大学に通うためのコストをどうやって賄っていくのか。
 多くの学生達は、授業料や寮費、食費といったコストを賄うために、政府保証のある民間学資ローン(FFELP)など、複数のローンを組み合わせてやりくりしている。しかし、FFELPは業界団体からの圧力により金利が高く、返済できない学生が続出。しかも、アメリカでは学資ローンには消費者保護法が適用されず、自己破産しても借金の免責が認められていないという。
 このFFELP、オバマ政権は廃止を宣言。その代わりとして、政府が自らとなって貸し手となって学生に融資を行うFDLP(政府直接ローンプログラム)に一本化して、低所得者向けのペル奨学金(返済不要)を1人当たり500ドル増額する方針を示した。このFDLP、もともとクリントン政権下の1993年に誕生したが、民間ローン会社による反対を受け、あまり拡大しなかったという過去の実績がある。

 ここまでが、2010年3月時点のこと。現在、この問題はどのような進展を見せているのか。
 これらのことから教育関係者は、大学の授業料値上げは、貧しい学生に進学を断念させ、学費の捻出に苦労している中流家庭にも思い負担になると懸念。
 将来を担う学生達の向上を図る大学。この状況を改善しなければ、後に大きな脅威となって襲ってくる。
 教育と経済とのバランスをどうやってとっていくのか。日本でも大きな課題になっており、アメリカでも抱えている問題の一つになっている。

【参考資料】

・「授業料の高騰がもたらす「大学教育崩壊」の危機」
ワシントン・ポスト(USA/COURRiER Japon 2010.3)
・「「教育ローン改革」が大学再生への道」
(COURRiER Japon 2010.3)

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