人口問題 インドの慣習「ダウリー」が与える影響

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 インドと言えば中国に次ぐ人口の多い国であり、目覚しい経済発展を続けているというイメージがあるだろう。2011年に行われた国勢調査(速報値)によると、人口は12億1,000万人。
 そのインドに「ダウリー」という慣習があり、社会問題になっている。「ダウリー」とは、男女が結婚する際、女性側の家族が男性側の家族に渡す「持参金」のことである。持参金と言うとお金をイメージするかもしれないが、家財道具や自動車、不動産関係も当てはまる。この持参金の交渉が熾烈さを極めており、女性側の家族の家計に大きな負担を与えている。女性側の家族のその後の生活にも(男性側の家族のその後の生活にも)大きく影響してくるため、その交渉は一家の存亡をかける攻防となっており、交渉が決裂の場合は縁談は破談となってしまう。
 この「ダウリー」はもともと、上位カーストの習慣だったが、下位カーストが自らの地位向上を図って模倣する「サンスクリット化」という現象により拡大。現在は法律で禁止されているにも関わらず、より過剰化しているという。
 「ダウリー」は家族にとっては、その後の生活に大きく影響するため、それぞれの家族計画にも影響してくる。「ダウリー」が与える影響により、男児が望まれる傾向が強く、技術の進歩がこれを後押しする傾向になっている。出生前に性別が分かるようになり、女児と分かると堕胎を選択する家族が増えているという。インドでは医療機関が超音波診断の結果を家族に伝えることを法律で禁止されているが、出生前診断は闇ビジネスとして成立しているという。
 この問題が一つの要因となり、インドの人口に問題が生じている。

少しずつ女性の環境は改善に向かってはいるが…

 近年、インドの人口増加率は鈍化傾向にある。6歳以下の児童人口が前回から500万人減って1億5,880万人になっており、男児の割合を100とした場合、女児の割合が92.7から91.4へ下がっている。
 つまり、インドの人口増加は、医療や公衆衛生の改善によりもので、出生率は減少傾向にあるということだ。
 これが何を意味するかと言うと、インドも将来、少子高齢化に悩まされると言うことだ。現在も未婚男性が増加する現象が起こっている。
 インドにこのような問題が生じており、女性環境の課題があげられる。ただ、前進していることも。医療技術、教育、生活の質の全般的な進歩により、女性の人口比率は、男性100人に対し、10年前の93.3人から94人へ増加。女性人口は18.1%増えて5億8,650万人に達しており、女性の識字率・人口が大幅に増加しており、女性の社会進出が拡大している。
 全体的に見ると女性の人口比率が増加しているが、女児に限定すると減少傾向にあるということだ。この人口比率の偏りは、今後の人口問題に影響し、経済といった分野にも影響を与えるため、ないがしろにできない。

【参考資料】

・「「龍」と「象」の比較学 第14回 人口問題 高額な「持参金」の慣習が 男女不均衡を加速させる」
中島岳志(COURRiER Japon 2011.8)

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