中東の行方 中東の原油

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 これまで世界のエネルギー事情は原油が重要な要素を担ってきた。それらは私達の生活の土台を担う存在でもあり、移動手段である自動車や飛行機などの動力源にもなってきた。
 今後、エネルギー源の多角化は進んでいくだろうが、まだしばらく原油の存在は大きいままの状況が続きそうだ。

 その原油の供給源として、中東地域は大きな存在である。最近、イランの核開発問題で、ホルムズ海峡封鎖による混乱は、それだけ中東に依存していることを賑わしている。中東・北アフリカの原油問題は世界的な影響に発展するため、中東情勢の緊迫化は深刻なものになる。
 原油の供給源として、一般的にはサウジアラビアがあげられることだろう。しかし、サウジアラビアの原油の質はそれほどいいものではないそうだ。それよりいいものは、リビアだという。つまり、リビアとサウジアラビアの原油はイコールではないといえる。
 リビアの石油は高品質で、原油の多くは軽質油か硫黄分の少ないスウィートオイルで、石油やディーゼル燃料などの需要の高い石油製品へと簡単に精製できる。世界で算出される原油の中で、これに匹敵する高品質の原油は全体の25%に過ぎないとされ、リビアの石油はこのうちの9%を占めているという。一方のサウジアラビアの原油は重質油か硫黄分の多いサワーオイルで、リビアの原油の完全な代替機能はないという。
 リビアの質はいいが、「アラブの春」革命といったことで、供給は不安定になるなど、世界に与えるエネルギー問題は大きな課題になっている。サウジアラビアが厳しい供給となっている分を補助する形になっているが、それも疑問符がついている。サウジアラビアの原油供給の余剰が果たしてあるのか、供給するパイプラインをきちんと管理できるのか、ということだ。つまり、不足分を補助できる余裕があり、パイプラインがテロやトラブルに巻き込まれないようにできるのか、といった疑問符がついて回る。

産油国と消費国のゼロサムゲームの悪循環

 これまで、原油を供給する側と供給される側も互いに調整しながらも、関係は固いとはいえない経過を辿ってきている。原油価格はゼロサムゲームになり、価格の上昇は消費国を犠牲にする形で産油国の利益となり、価格の低下は産油国を犠牲にする形で消費国の利益になる構図が生まれ、互いがそれぞれの行動を疑うようになった。
 供給する側としては、強権体制を国内に強いているかわり、国内の不満をエネルギー消費コストを安くするなど、大盤振る舞いをしてきた。その結果、今ではイランぐらいが国内の原油価格を引き上げることに成功している。それに、これまで原油にかわるエネルギーの投資を怠ってきたことも、供給側の体制に懸念が生じてきている。

 まだまだ原油の需要は必要になってくるだろうが、中東地域の不安定さは深刻な状況と隣り合わせ。エネルギー源の多角化はますます重要になってくる。

【参考資料】

・「第3の石油ショックか――中東の政治的混乱と原油価格高騰」
エドワード・モース(元国際副次官補(国際エネルギー担当))(FOREIGN AFFAIRS Anthology vol.34)

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