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○○の時代 アメリカの国防費削減が与える影響は
- 2012-01-26 (木)
- 戦争・紛争
ヨーロッパの時代からアメリカ時代へ。そして、21世紀の主役はアジア太平洋地域になりそうだ。そして、そこには中国の存在も大きい。しかし、問題要素も多い。台湾海峡や朝鮮半島の有事。こうした不安要素はアジアの国々だけではなく、アメリカやヨーロッパなど世界にも影響が出る可能性がある。
その中でも今、中国の存在感が強くなっている。特に軍事拡大が目立つ中国だが、その実力はアメリカに比べるとまだまだ低いとみられるが、航空戦力と海軍力で優位に立つ米軍に対抗するため、ミサイル、潜水艦、人工衛星破壊行為、サイバー戦の能力を急速に強化している。その背景には、通常戦力の整備を進め、米軍が西太平洋の紛争に介入するのを抑止することが挙げられる。
中国の軍事拡張はアジアの国々でも懸念が出ており、アジアにおける不安をかき立てている。そんな中、中国への懸念を持つ国々はアメリカの存在感を意識している。ただし、全面的にアメリカに依存という形ではなく、中国ともうまくやろうという姿勢だろう。
アジア太平洋地域は、40年間にわたり、ほぼ一貫して経済成長を続け、民主主義を拡大させてきた。その背景には、アメリカが深く関与したことで成功したということがある。第二次世界大戦後の地域安全保障を支え、経済的成功の前提となる安定をつくり上げてきた。しかし、このアメリカの軍事力と同盟関係が果たしてきた役割について、あまり注目されていない。
現在、この地域のパワーバランスに変化が生じようとしている。中国の軍事拡張など周辺国との間で警戒心が強まっている。そこには、中国経済の拡大の勢いとアメリカ経済の危機の要素が大きく絡んでいる。アメリカの経済危機は国防にも大きく影響し、国防費の削減の声が強くなっている。これにより、アメリカと中国の関係にも大きく影響することになっている。つまり、アメリカが軍事力を弱体化させようとしている一方で、中国は軍備の近代化を急ピッチで進めている。
アジアが不安定になれば、暴走するところも
アジア太平洋地域の経済発展により、日本、台湾、韓国、中国、シンガポールなどの国々はアメリカと世界の重要な貿易パートナーになった。しかし、この地域では域内貿易も海上輸送に頼ることが多く、多くの物資が重要な交通の要衝を通過する。マレー半島とスマトラ島の間のマラッカ海峡には、世界の貿易量の40%が集中している。
このように、海上交通の安全を確保する力を保ち、船舶の自由な航行を維持することは、民間の商船にとっても軍の艦艇にとっても重要である。ただ現在、中国の海への管理範囲が広がりつつあり、周辺国との衝突の問題が大きくなりつつある。
そして、この地域が不安定になることで、有事に危険性が出るという。つまり、不安定になることで、外交と経済に大混乱を引き起こす可能性が高いという。そして、極端なケースでは、アメリカの力が弱くなれば、中国以外の周辺国の抑止力対策が急速に進む可能性があるという。その対策として、比較的安価な抑止力として核兵器の保有が挙げられる。一つの国が核兵器保有に至れば、周辺にドミノ現象で核保有が広がっていく可能性が高い。
このようなことから、アメリカの力が弱くなれば、不安定要素が拡大し、経済から外交から、大混乱の要素が増える。
アメリカはイラクから撤退し、アジアに注視した体制に移行しつつある。しかし、国防の削減は、軍事力の削減にもつながる恐れがあると指摘されている。アメリカと中国のパワーバランスが崩れることは、これまでのやり方が通用しなくなるかもしれないことでもあるかもしれない。安定してきた部分には、アメリカによる安定への行為が深く関わっていることは、受け止めるべきだろう。
これまでのアメリカによる体制には、メリットとデメリットがあっただろう。恩恵もあり、問題もあった。中国による体制が強くなった場合、どんなことが出てくるのだろうか。
秩序を保つためには、ある程度の制約が出てくるが、その制約が適当かどうか、見つめ直す時期に来ているのかもしれない。
【参考資料】
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○○の時代 パックス~の衰退はどういう展開
欧米の時代が続いている。現在はアメリカの時代。そして、今後はそこに中国が躍り出ようとしている。
西洋は15世紀頃から、一連の社会制度でのイノベーション(革新)で、他の世界に差をつけ始めた。そのイノベーションの重要な要素となったのが、
・競争:ヨーロッパは多くの国に分かれ、それぞれの国内で営利組織が競い合って、その一部が現代の企業の原型となった。
・科学革命:17世紀の数学・天文学・物理学・化学・生物学における画期的な発見や成果は、全て西欧で生まれた。
・法の支配と代議政治:私有財産権と、投票権を持つ資産家が議会の代表を選ぶ制度が基盤となり、最適な社会と政治秩序のシステムは、英語圏で誕生した。
・近代医学:19~20世紀の医療分野における画期的な発見や成果は、ほぼ全て西欧と北米で生まれた。
・消費社会:産業革命は生産性を高める技術の供給と、より多くの良質で安価な製品(例えば綿服)に対する需要の両方があったイギリスで始まった。
・労働倫理:世界で最も早く、多くの人々が労働集約型の職場で働き、貯蓄には励み、長期的な資本の蓄積が可能になった。
これらの要素により、西洋の生活水準は他の世界に圧倒的な差をつけた。その結果、16世紀初頭、中国は北米より豊かだったが、それが1970年代後半にはアメリカ人の所得は中国人の20倍以上になり、健康面でも寿命が長くなり、20世紀前半にはアメリカを含む「西洋の帝国」が世界の土地の58%、経済の74%を支配するまでになった。
イギリスの時代からアメリカの時代に移り、今、中国が次の時代に名乗り上げている。これまで様々な時代が訪れ、その時代の帝国が変わってきた。当時は一見、その帝国が続くように感じたのだろうが、その力は次第に衰え、新たな帝国が現れる。
帝国が滅び、次の帝国が現れる。その展開は、これまでも様々な舞台で議論されてきた。その中で、帝国(文明)は勃興して隆盛を極めた後、徐々に衰退する、というイメージにいきがちだ。しかし、こんなことも指摘されている。歴史の流れは緩やかな放物線の連続ではなく、いきなり崖から落ちるように急激な下降線を描く、と。つまり、文明は衰退するのではなく、一気に崩壊する、ということだ。
その具体的な例として、ソ連の急激な崩壊、北アフリカ・中東での独裁体制の崩壊などが挙げられるだろう。後者は、1年前には豪華な宮殿に住み、安泰に見えた独裁者達だったが、外国に追いやられたり、殺されたりして、その体制は崩壊した。彼らの転落に共通する特徴は、独裁を支える複雑な社会システムが突然、機能しなくなった点にある。
アメリカ低下の結果
時代は変化する。それと同じで、帝国も変化し、崩壊する。その変化の要因は、これまで帝国を繁栄させてきた要素が多く絡んでいるのかもしれない。
つまり、冒頭で挙げた要素が、これまで帝国の主役を担ってきた側だけが持ち、それを活用できるものではなく、それは帝国側以外にも活用できる要素だからた。日本をはじめとする非西洋諸国は、西洋がイノベーションを起こした要素をうまく取り入れ、西洋を追い上げている。
そうした結果、いくつかの結果が見られるようになった。
・平均的韓国人の週労働時間はアメリカ人より39%多く、韓国の学校の年間労働日数は220日あるが、アメリカは180日。これは、アメリカの主要大学で勉強熱心な学生を探すと、大抵アジア人かアジア系アメリカ人という。つまり、向上するための努力の勢いの違いが見られる。
・消費社会の面では、世界の巨大ショッピングモール30施設のうち、26は新興国、特にアジアに集中しているという。アメリカはわずか3。
・近代医療の面では、対GDPで、アメリカは日本の2倍、中国の3倍の医療費と、最も高いお金を払っているが、アメリカ人の平均寿命は過去50年間で70歳から78歳に伸びたが、日本は68歳から83歳、中国は43歳から73歳に伸びている。
・法の面では、世界経済フォーラムの経営者意識調査では、私有財産権と統治に関連する16項目中15項目でアメリカの評価は香港より下だった。それも、アメリカが20位以内に入った分野は投資家保護だけだったという。ちなみに、企業の組織犯罪対策コストは86位、政治家の倫理観に対する国民の信頼度は50位、賄賂は42位、会計監査と会計報告の水準は40位。
・科学の面では、アメリカを研究拠点とする多くの科学者が毎年ノーベル賞を受賞しているが、大半は高齢者になる。若者へ注視してみると、世界各国の15歳を対象にしたOECD(経済協力開発機構)の国際学習到達度調査(PISA)によると、「数学的リテラシー」の分野で世界1位の上海、シンガポールの生徒とアメリカの生徒の差は、大きいという。
・競争の面では、世界経済フォーラムが毎年発表する国際競争力調査によると、アメリカの平均競争力指数は2004年以降、5.82から5.43と先進国で最悪レベルの低下になった。中国は4.29から4.90に。国際競争力に懸念があるが、国内の競争力にも深刻な問題が出ており、現在は深刻な社会の二極化が進み、全米の所得の20%を得ている1%の富裕エリート層が他の社会階層、特に所得分配の底辺にいる人々と危険なまでに懸け離れた存在になっている。
こうしたことから、アメリカの時代から新興国、特に中国の存在感が強くなり、今後のアメリカと中国の関係と行方が気になる要素になっている。
崩壊はいつ、どのように
ただ、アメリカの時代が崩壊に向かっているとすると、今後の懸念材料として、騒乱と犯罪が急増したり、グローバル化している現在、アメリカの信頼低下などによる、世界の情勢が大きく不安定になるかもしれない。
アメリカの時代は続くのか、崩壊するのか。帝国の崩壊は徐々にではなく、急激にという指摘は、どこまで当たっているのか。そして、崩壊のペースは、例でも挙げた1年というものなのか。もし、1年だとしたら、あっという間の変化だが、この急激な崩壊説で挙がっている例は、ローマ帝国も挙げられている。ローマ帝国はゆっくりと衰亡の道を歩んだと言われてきたが、ゲルマン人の侵入と内部分裂により、5世紀前半の数十年間で崩壊したという。
ここからいえるのは、数十年という期間から1年という範囲が出てくる。アメリカの時代がいつかは終わるだろう、という意識は常々思っていたが、その具体的な時期となると様々な議論が巻き起こっている。「まだまだアメリカの時代は続く」という声も、「いや、中国の時代がもう既に近くまで来ている」といった声も。
今後の世界情勢を見つめた上で、「どうするのか」今から既に考えて行動しないと、ますます日本の状況は不透明になりそうだ。
【参考資料】
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環境と発電による温暖化問題
- 2012-01-16 (月)
- 環境・自然
昨年末、南アフリカのダーバンで第17回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)が開催された。その内容はもちろん、環境問題で、京都議定書の延長問題だった。日本はアメリカや中国が参加しない枠組みではその効果は高くないとして、延長には反対。結果、京都議定書は日本などに義務が生じない程度の延長という流れになった。
日本は「京都議定書」で2008~12年の温暖化ガス排出量を年平均で1990年比6%減らす義務を負う。08~09年の平均排出量は90年比1.3%減程度。しかし、昨年の3月11日の東日本大震災による原発事故で、電力供給に大きな問題が浮上した。火力発電から原発発電に移行しようとする国の政策は、環境対策としても注目されていた。しかし、原発事故でその環境・安全対策に大きな問題が生じ、今後の原発政策にブレーキがかかった。
日本国内の原子炉は全部で54基。その中で43基が停止中(2011年11月15日現在)。これらが再稼動せず残りも定期検査に入れば、今年4月に稼動原子炉はなくなる。原発による電力供給が今後は難しくなることから、火力発電を動かすことになる。しかし、その火力発電は二酸化炭素(CO2)排出の面では大きな問題がある。LNG火力の発電量1キロワット時あたりのCO2排出量は約600グラム。建設時などのエネルギーを含めて20グラム程度の原子力発電よりはるかに多い。各地に設置した電源装置は大型設備よりも発電効率が劣り、一層の排出量の増加を招く。
日本はこれまで環境問題に取り組んできた。国内産業はCO2の排出量を1990年度から09年度まで、19年かけて19.5%減らしてきたが、電力量あたりの排出量が増えれば、削減は厳しくなる。
現在、原発事故により電力供給が火力で賄おうとしていくことに対し、温室効果ガス排出量の増加が懸念されている。今後の節電状況にもよるが、京都議定書の義務達成は「海外からの排出枠買い取りなどを加味しても、ギリギリ可能かどうか」の綱渡り状態。それに、「20年までに90年比25%削減」の国際公約達成は極めて厳しい。
もし、原子炉を寿命40年で原則廃炉にし、新増設もしないと20年に36基に減ることになる。政府のエネルギー基本計画の想定との差を全て火力で代替えするとCO2排出量は1億2,651万トン増えることになり、90年の温暖化ガス排出量に比べ、約10%増にあたる。
今後の環境対策は、様々な視点と発想と地道な取り組み
地球温暖化問題が駆け巡る中、電力発電という分野だけでも、温暖化ガス排出量を下げようとしてきた。しかし、原発事故はさらなる害を及ぼすことになってしまった。現状での現実度では、火力発電が有力だが、今後の電力供給としては、環境面を考慮した発電体制は極めて重要であることから、再生可能エネルギーが注目されている。風力や太陽光などだ。
そういった解決策の一つが多くの議論を呼んでおり、地球温暖化を食い止めようという声が大きい。しかし、地球温暖化に対し、こんな声・説もある。
これまで気温が下がるにつれ、サハラ砂漠は拡大していった。世界的な寒冷化に伴い、大気中の飽和水蒸気量が減少して降雨量が減り、乾燥地域が増えた。しかし今、気温が上昇するにつれて、サハラ砂漠などの乾燥地域の周縁部で緑化が進んでいるという。
つまり、気温の上昇によって世界の幅広い地域で降雨量が増え、植物がより繁殖し、何世紀も荒れ果てていた地域に植物が生えてくるという可能性があるという。アルプスでは樹木の限界高度が徐々に上昇しているという。
地球温暖化の影響は悪いことばかりではないのかもしれない。国連主催のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が予測した気温上昇とCO2から考えると、北米の大草原では植物の成長が促進される見込みだという。世界の陸地の3分の1を占める半乾燥地域の草原は、より肥沃になっていく可能性があるそうだ。
IPCCの報告では、アフリカの広範な地域で降雨量が減少し、ソマリアで起きているような飢饉が珍しいものではなくなるかもしれないと予測している。
地球温暖化による環境問題は深刻だという声は強い。ただし、こうした視点も取り入れて、今後の環境対策に生かしていく必要はあるだろう。
そもそも地球温暖化は、「地球全体が活動するサイクルの中で自然なものだ」から、心配する必要はないという声もある。そうかもしれない。ただし、環境悪化の可能性もあるのだから、今後の対策として、再生可能エネルギーによる発電など、自然環境を考えた取り組みは行っていかなくてはならないだろう。
これまでは火力発電や水力発電、そして、原子力発電といった発電方式を実現させてきた。その恩恵を得てきたわけだが、次はもっと環境に配慮した再生可能エネルギーの可能性を実現し、選択の道を広げて、対策を練らないといけない。
発電分野だけでも環境対策の取り組みはなされ、他の分野にもそれぞれの環境対策があるだろう。そうした取り組みの方法を広げていくことで、私達が陥る環境悪化による生活悪化が少しでもよくなることに繋がるからだ。
【参考資料】
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オスロ条約VS…クラスター爆弾問題
- 2012-01-09 (月)
- 戦争・紛争
クラスター爆弾の使用、製造、保有を禁じる条約「クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)」が2010年8月に発効し、クラスター爆弾が非人道的兵器だとの認識が国際社会に定着してきた。
このクラスター爆弾。数個から数千個の子爆弾を広範囲にばらまく爆弾だが、大量の不発弾が発生することで、紛争後も多くの市民を殺傷していることが問題になっていた。子供がおもちゃと勘違いして爆発、知らないうちに爆弾を踏んで爆発…などといったケースが続発し、いってみれば地雷のような脅威がある。
この条約は、加盟国に条約発効後8年以内の備蓄の廃棄を定めており、加盟国は日英仏など111カ国に上る。
クラスター爆弾を禁止しようとする動きは活発になったわけだが、その流れのきっかけになったのが、対人地雷の禁止条約。対人地雷の禁止条約は当初、部分的な禁止条約しか作れなかったため、非政府組織やカナダなどの有志国が、特定通常兵器使用禁止条約(CCW)とは別枠で全面禁止条約を提唱し、1997年に対人地雷禁止条約が締結されたが、米露中は参加しなかった。しかし、加盟国は158と国連加盟国の8割に増加し、保有国は事実上、地雷は使えなくなった。
このプロセスを踏襲したのがオスロ条約である。
しかし、オスロ条約の欠点事項として、クラスター爆弾の85~90%を保有する米露中が参加しないことから「実効性が不完全」であるということ、クラスター爆弾に有効性があるといったことから、クラスター爆弾の禁止緩和に向けた動きが米国などから活発になった。
つまり、米国など非加盟国が中心となり、新型爆弾の保有や仕様を容認する新条約を締結するよう各国に働きかけたわけだ。
この動きは、軍縮会議「CCW」締約国会議で活発になり、CCW加盟国の7割以上が新条約に賛同した形になった。爆弾の使用規制に強く反対してきた米国、イスラエル、インド、韓国の他に、オスロ条約を署名もしくは批准した日本、フランス、ドイツ、英国、イタリア、オーストラリアなども理解を示した。
新条約案の今後
新条約案は、
・1980年より前に作られた古い爆弾を12年間の猶予を付けて禁止
・不発率が1%以下の新しい爆弾の使用を容認
という内容。つまり、低い不発率の爆弾を容認し、不発率の高い古い爆弾も最長で12年使えるということだ。
そして、この新条約案でクラスター爆弾の禁止緩和を狙い、新条約案に賛同した背景には、「オスロ条約の義務に影響しない」などの付帯項目を付けたことも一因だ。
条約についての一般的ルールを定めた「条約法に関するウィーン条約」により、ある条約に留保することを認めており、留保を表明した国はその部分に関しては当該条約から拘束されないという。ただし、クラスター爆弾の全面禁止を定めたオスロ条約は「留保を付することはできない」と定めているため、留保し得るのは新条約だけだ。
オスロ条約に対して、クラスター爆弾の使用の選択を残したい側の新条約の動きが活発になり、CCW締約国会議で提起されたが結果、全会一致の支持が得られず廃案となった。
しかし、楽観視できない。今回の動きは必ずしも通すことだけが目的ではなかっただろう。オスロ条約の効果を下げる効果もあったのではないだろうか。
米国などは今回、市民の被害を考えて条約を作ろうとした「実績」を作ったことで、「何もしていない」とのオスロ条約側に反論でき、米国側からの視点からクラスター爆弾の問題を考えた動きを阻止したということで、今後の米国側の動きが活発になりやすくもなった。さらに、オスロ条約加盟国内での足並みが乱れたことから、その隙間を突く行為が今後も出てくるだろう。
おそらく、今後米国側の動きは再度、動いてくるだろう。対人地雷のような環境に持っていくには、まだまだ時間がかかりそうだ。
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サイバー戦争勃発!?(下)
世界的にサイバー戦争が常識になってきている中、日本はどうなのだろうか。サイバー戦争の中でも最も攻撃に脆弱なのが日本ということになるみたいだ。
日本をターゲットにする要因はいくつも存在する。具体的にいえば、中国やロシアは日本との領土問題で懸案事項を抱えている。北朝鮮も日本とは厳しい関係なので、サイバー攻撃を仕掛ける動機はある。これらの国々だけでも、サイバー攻撃の能力を高めているため、いつ脅威が降りかかってもおかしくない状況だといえる。
しかし、日本がサイバー攻撃に対して明確に動けない状況にあるのは、サイバー攻撃を戦争という位置付けにすると、憲法上の問題が出てくるためでもある。それならば、サイバー攻撃を「犯罪」と位置付けて対策を強化すればいいいかというと、これにも問題はある。たいていが国外から仕掛けられるサイバー戦争に日本は事実上、手も足も出ない。
目に見えないサイバー攻撃はミサイルや兵士による物理的な攻撃と違い、より実行しやすい攻撃手法だと言え、サイバー攻撃への備えだけでなく、法的な側面の議論を深めることは急務になってくるだろう。
欧米主導でサイバー行為の「行動規範」づくりが進められている
NATO(北大西洋条約機構)は、
・物理的な攻撃と合わせて行われたもの
・特定の政府が行ったもの
・実害があった場合
の3条件を満たす攻撃をサイバー戦争行為とみなしている。
サイバー戦争が熾烈になり、大きな混乱を招かないようにするために、欧米主導で行動規範の検討が進められている。脅威増大を受け、欧米の政府当局や専門家の間で国家間のサイバー戦争を予防・規制する行動規範を設けようというのだ。
具体的には、
・国家は他国に先制サイバー攻撃を仕掛けることを控える
・電力や交通、金融など民間システムは攻撃しない
・他国に重大な攻撃を仕掛けた個人やテロ組織が自国内にいる場合、責任を持って取り締まる
などといった案だ。
ただ、問題なのは一部の国家は通常戦力ではかなわない大国に対抗する「非対称な手段」としてサイバー攻撃を重視している模様で、行動規範への参加は期待しにくいことだ。そして、この行動規範が実効性を持つには、攻撃者を突き止める高度なインテリジェンス能力が必要になってくる。
サイバー体制を進めてはいるものの、現状では当面、各国が手間やコストがかかっても重要な社会インフラの制御システムをネットから完全分離することや、既に潜入したウイルスの発見・対処、官民の連携強化などの自助努力を求められることになる。
ただ、サイバー戦争は現在、どこまで進んでいるのだろうか。もしかすると、核技術のようなところまできているのかもしれない。
サイバー攻撃で各国の中央銀行を一気に破壊してしまえば、世界を制覇できるかもしれない。例えば、中国がその気になれば、アメリカの金融システムを麻痺させたり、システムそのものを破壊することもできるかもしれない。つまり、それらの行為はできるが、それをしないのは、核保有国が核兵器を使用しないのと同じことがいえるのではないかという指摘がある。
要するに、核による抑止力が戦争を抑え、緊張状態になっている現在、サイバー攻撃も既に抑止力や外交カードとして効果を発揮し始めているということだ。
日々の生活の中では、サイバー攻撃と言えば、PCがウイルスに感染しておかしくなる程度に感じるものだ。しかし、もっと大きな舞台では、サイバー戦争は国の役割を機能停止させる能力を持っている。そして、私達の使っているPCが知らないうちに使われて、攻撃に参加しているのかもしれない。
巧妙化するウイルスの侵入を100%阻止することは不可能だ。しかし、身近なところから対策は進められることは必要で、それと同時に、大きなところも進めていかなければ、サイバー戦争には勝てないだろう。
今後、サイバー戦争は世界的に重要な項目となる。日本もサイバーシステムは進んでいるため、日本もサイバー対策は早急に進めなくてはいけないだろう。
(おわり)
【参考資料】
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サイバー戦争勃発!?(中)
世界のウェブサイトが受ける攻撃は1日2,000万件…。サイバー攻撃は日本だけではなく、世界中で問題になっている。サイバー攻撃の最前線ともいえるのが、アメリカ。アメリカだけで企業のサイバー攻撃の被害額は年間1,000億ドル(7兆6,500億円)規模に達するという。さらには、国土安全保障省が今年だけで既に10万件以上のサイバー攻撃に対処しているそうだ。
それだけ、サイバー攻撃は世界的に大きな影響を与える存在になり、サイバー戦争も始まっている。ターゲットは国家から企業、個人情報に至るまで様々。今ではインターネット空間が戦場であるとの認識は、既に安全保障の常識となっており、アメリカではサイバー空間を陸・海・空・宇宙に並ぶ「第5の軍事領域」に位置付けており、イギリス(政府)ではサイバー攻撃を通常の戦闘と同等に捉え、国防省がサイバー専門部隊の強化に乗り出している。中国やロシアは世界でも最も活発にサイバー攻撃を行い、北朝鮮やイランなどもサイバー空間で暗躍。
攻撃側として中国がよくあがってくる。しかし、国家機関によるスパイなのか、民間ハッカーによるものか、人民解放軍のサイバー部隊が演習目的で行っているのか、企業に雇われて動く民間のハッカーグループが実績をあげるためなのか…様々な憶測が飛び交っている段階で、わからないのが現状みたいだ。他にもロシアでは、高度な技術を持ったハッカーによる犯罪が多く、ロシア当局は有効な対策も打てない状況だそうだ。
秘密裏に一般のPCに仕掛けられていたウイルスが、ネットワークを拡大させながら、持ち主に気づかれないまま攻撃に参加する…DDoS攻撃。100万台ほどのPCが一斉攻撃を仕掛け、大量のデータが通信ネットワークや銀行などに数週間にわたって送りこまた結果、経済と国民生活が麻痺…こんな事態になる可能性も高くなっている。
さらに、サイバー攻撃は国の主権を侵害する戦争行為として、07年9月のイスラエルの爆撃機がシリアの疑惑の施設を爆撃する際にも効果を上げた。防空システムに侵入し、レーダー上では異常がないようにしたというのだ。このような手段は、多くの国で軍事戦略の選択肢の一つになっている。
さらには、10年にイランで発生したサイバー攻撃では、「スタックスネット」というウイルスにより、9,000個の遠心分離機のうちの10%を、回転数を自動的に上げたり下げたりして、破壊され、衝撃を与えた。インターネットからシステムをほぼ完全に遮断していても、ネットワークが攻撃にあう可能性はあるということだ。ちなみに、スタックスネットは世界15か所の工場で感染が確認され、日本でも36台のPCの感染が判明しているそうだ。
外部から隔離されたはずのネットワークが攻撃される要因としては、OSを更新する際のインターネット接続や、データのやりとりに使用するUSBのような記憶デバイスなど、様々な要因が挙げられる。
今後、影響が出そうなのは、環境という面でも大きな期待が持たれている、「スマートグリッド(次世代送電網)」にも大きく関わってきそうだ。
アメリカと中国のサイバー戦争
こうしたことから、サイバー攻撃は世界中でも大きな存在になっている。そのサイバー戦争でも、アメリカと中国のサイバー戦力は注目すべきだろう。
実際、アメリカと中国とのサイバー戦争は始まっているという。中国がアメリカ側の国防や安保関連のコンピュータ網に全世界規模で攻撃をかけているというのだ。今の現状では、中国は通常能力ではアメリカに及ばないため、通常ではない手段での戦いで挑むことが必至になる(非対称の戦争)。その手段の一つがサイバー攻撃である。
米側の軍や公共のシステムは、コンピュータやインターネットに全面依存(軍機関や情報機関のネットワークから電気、水道、廃棄物処理、金融機関、航空管制、社会保障などのシステム)しているといえる。有事にこうしたシステムへのサイバー攻撃が起きれば、国家機能が麻痺する事態になる。つまり、有事の際、サイバー攻撃を仕掛けることで、米軍の移動を遅らせるなど、混乱させることができるというわけだ。
中国はアメリカの軍事能力に注目してきた。戦争などの際のアメリカの機動力なり分析してきた。特に米軍の遠隔地での兵力ビルドアップ(集結)という点が注目されたそうだ。これは外国での軍事大作戦に兵力をどのように動かし、集めていくかということ。その結果、米軍の作業にはコンピュータ・システムにいかに依存するかを確認したという。つまり、米軍の依存は弱点になるというわけだ。
それに、中国では人民解放軍が過去10年に中国全土の企業や大学内で組織してきた何千という基地の一つに、インターネットを介したサイバー攻撃や防衛をするサイバー民兵があるという。彼らは一般的に会社に属しているが、サイバー攻撃や防衛を副業としてるというのだ。
所属するサイバー民兵の総数は、およそ800万人といわれ、彼らはインターネット上で戦う中国の軍隊であり、世界的に増え続けるサイバー攻撃と関係しているそうだ。
サイバー攻撃が深刻な問題になりつつある今、「ロジックボム」という問題も進行している。ロジックボムとは、ハッキングなどで不正侵入するのではなく、システムやチップなどの製造過程であらかじめ悪意のあるプログラムを潜らせておくというものだ。そして、有事になった場合、外部からの指令でそのプログラムを起動させ、混乱させる。
これが何を意味するかというと、軍事システム、あるいは発電所や鉄道網、航空管制などの重要インフラのシステムに仕掛けられていれば、それらを混乱させることができるということだ。もっと具体的に言えば、軍事衛星やデータ通信が停止の事態になるかもしれなく、在日米軍も自衛隊もまともに動けなくなる。送電制御システムを暴走させて電力供給をストップさせたり、航空管制を混乱させて事故を誘発させたり、原子力発電所の制御システムが破壊され、大きな事故につながることもあるかもしれない。
このロジックボムは本来、開戦日まで秘匿される罠であり、今現在どこに、どれほどの数が仕掛けられているのかもわからない。
サイバー攻撃は、常に新しい脆弱性が発見され、画期的な攻撃手法が開発され続けている。
(つづく)
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サイバー戦争勃発!?(上)
9月20日、新聞各紙で三菱重工など軍事関連企業へのサイバー攻撃があったことが報じられ、大きな注目を集めた。
8月11日、三菱重工が導入した監視システムが、一部のサーバーの異常を検出したことがきっかけで、22日に判明した。計11カ所のサーバーやPC計83台が、ウイルスに感染するまでに至った。ただし、被害はどこまでかわからない。
これに対し、警察は三菱重工に対する攻撃を「サイバーインテリジェンス(サイバー空間を通じて国の治安や外交を揺るがすスパイ活動)の被害が表面化した国内初の事例」とし、公安部に捜査を委ねた。
今回の攻撃はメールなどを使い、企業内の個人を狙って侵入し、ウイルスを外から操って重要情報を奪う「標的型」。大量にウイルスをばらまく手口と比べ、手間がかかるが、ウイルス対策ソフトの検出がされにくいという特徴を持つ。「トロイの木馬」という外部からの操作でPCから情報を盗み出すウイルスがしかけられ、受信者はメールに添付されたファイルに見せかけたウイルスを開くことで感染する。
サイバー攻撃の質もピンからキリまであり、今回の攻撃は、大手IT(情報技術)企業の上級技術者と同等の力量を持つ複数のハッカーとそれを束ねる指揮官が、かなりの準備期間をかけて仕掛けてきているとみられ、単独のハッカーとは考えづらく、予算と時間を投入できる組織による犯行の可能性が高い。
サイバー攻撃はこれまで問題になってきたが、多くの課題が山積みな状況である。今回のような標的型のサイバー攻撃は、国内では2007年頃から見つかるようになり、この他にも無差別にウイルスを送りつける手法やサーバーに直接侵入、USBなどを媒体とした手口などによるウイルス感染も問題になっていた。年々、侵入の手口も巧妙になり、攻撃された側が気付かないケースも多い。
サイバー攻撃による被害は様々だ。サイバー攻撃だけが原因ではないが、被害の一つが、企業秘密の技術などの漏洩が挙げられる。
日本の企業の内部情報が、中国のインターネット上で売買されている問題がある。中国最大手の検索サイト「百度」で検索すると、様々な情報が検索されるという。そして、企業内部情報がよく検索されるサイトが「百度文庫」。このサイトで日本を代表する企業内部資料とみられる、100近くの文書がヒットするという。
こうした「百度文庫」といったサイト。似たようなサイトは多数存在しているとされ、大小含め、10~30以上あるという。それらのサイトの特徴は、誰かが投稿した文書を検索・閲覧でき、投稿者が設定した価格でダウンロードできるということだ。つまり、ダウンロードが多ければ投稿者には多くの通貨が入ってくるわけだ。そして、いったん投稿された情報は他のサイトに拡散している場合もあり、削除しても拡散を止めるのは難しい。
こうした内部情報の流出原因の多くは、中国の現地関連企業の社員や元社員によるケースが多いという。
サイバー攻撃をする背景には、金銭的なものや本当にその情報を必要とする者だけが、活動しているわけではなく、反日感情を動機とした政治がらみから、「名だたる大企業のサーバーに侵入して情報を盗んだ」という実績を得るというケースもある。
日本のサイバー攻撃対策
こうしたサイバー攻撃に日本も動き出している。
政府は2005年、内閣官房に情報セキュリティセンター(NISC)を設置し情報を集約。今年8月、警察庁は国家機密の流出を防ぐため、民間企業約4,000社、都道府県警とともに標的型攻撃の情報を共有するネットワークを始めた。
防衛省は防衛関連企業向けの情報流出対策として、防衛機密や装備品関連などの「保護すべき情報」の漏洩の有無を24時間態勢で監視することや、アクセス記録を3カ月以上保存して、追跡調査に活用できるようにすることなどとしている。この他、標的型メールへの教育強化、対策ソフトによるウイルスチェックの定期的な実施、外部回線による重要情報の伝達時には暗号化することも。
しかし、「サイバー空間防衛隊」という組織を設立するとしているが、実際にいつ発足するかいまだに決まっていない。他にも課題は山積みだ。関係省庁の足並みが揃っていないということや人材育成に不安が残ること。それに、情報漏洩防止に対し、法律面からも対策を強化する必要が出ていることだ。サイバー犯罪はおとり捜査や司法取引なしに本丸はおとせない。警察が被害届なしに動けるのは「ウイルス作成罪」くらいで、こうした環境ではサイバー犯罪を取り締まるのには限界がある。それに、不正競争防止法に相当する反不正競争法という法律がり、機密情報の外部への持ち出しは刑事責任が問われが、「機密保持措置」がとられていたことの立証が必要になる。それも機密書面に「社外秘」という判があることだけでは十分ではなく、その情報に不特定多数がアクセスできないよう厳正に管理しておくことや、従業員との間に、機密保持に関する契約を結んでおくことなども必要になってくる。ちなみに、中国では機密保持措置が不十分だったとして、企業側が敗訴するケースも多いという。
この他にも、日本と中国の考え方などの違いとして、企業と労働者の関係もある。日本では身内の情報を外に漏らすことは恥とされているが、中国にはそうした概念が希薄だという。それに、中国では離職率が高く、ジョブホッピングが一般的で、従業員の入れ替わりが激しく、会社に忠誠を尽くす習性も希薄だという。こうしたことから、日本が編み出してきた企業文化をそのまま適用するのは、今後問題続出の原因となる。
(つづく)
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原発の廃棄物処理の行方(下)
具体的な方法が示され、今後の除染への取り組みの目安になりそうだが問題は多い。
まずは、中間貯蔵施設だが「事実上の最終処分場になるのではないか」という懸念などが出ており、具体的な建設地は決められていない。建設地が決まらなければ、環境調査や詳細設計などが進まない。
それに、これらの除染への取り組みが「トラブルなく貯蔵が可能なのか」、「保管方法を汚染度ごとに選別する作業で被曝が増えるのではないか」などといったことが問題視されている。
それに最終処分場については、放射性物質の量を減らすことが重要だが、一方で擬縮され高濃度の廃棄物が生じるため、こうした廃棄物の最終処分場は国内には厳しい。しかし、受け入れ先はなかなか見つからない。
放置すれば、除染の対象も膨らんでいく……
国は当初、除染対象地域を「福島第一原発事故による追加被曝量が年間5ミリシーベルト以上の地域」とし、福島、宮城、山形、茨城、栃木の5つの県が対象となり、その量は最大で東京ドーム23杯分(2,878立方m)と試算した。しかし、自治体や市民の要望を受け、「年間1ミリシーベルト以上」に修正したところ、先の5つの県に加えて、群馬、千葉、埼玉、東京、神奈川まで広がった。
住宅地や工場など生活や産業活動の場合に発生する汚染土壌などの量は、福島県内で1,500万立方m、それ以外の9都県で140立方mになり、森林などを含めると福島県で3,100万立方m、それ以外の9都県で1,300万立方mの計4,400万立方mと大幅に増えるという(環境省が9月18日のデータなどを基に分析)。
環境省は福島県内で発生する3,100万立方mは、焼却によって2,800万立方mに削減できると試算しており、今後の技術開発も目指している。しかし、放射性廃棄物の量を減らす技術研究は始まったばかりで、予想通りにいくとは限らない。
震災後の原発事故で、廃棄物の問題はさらなる深刻な状態を巻き起こした。これまでの原発から出るという廃棄物の問題だけではなく、今度は原発事故による多様な廃棄物も含めた処理の仕方を考えなくてはならなくなった。
普通状態の廃棄物処理でも実現ができていなかったのに、さらにレベルアップした処理が求められるから非常に深刻な問題で、私たちも長期間付き合うことは余儀なくされてしまった。
ただし、これを機に「これまでの原発の廃棄物問題をどうするか」ということも含めた取り組みを前進させないと、また問題の後回しにもなってしまう。今後の電気不足問題により、検査停止していた原発が動き出すケースが出てくるかもしれない。そうなると、再度、廃棄物の問題は大きくなっていく。
(おわり)
【参考資料】
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原発の廃棄物処理の行方(上)
モノをつくれば廃棄物が出る。原子力発電所で電気をつくれば、そこからも廃棄物が出る。しかし、この「廃棄物がどうなるか」ということが課題になっている。
一般の廃棄物はゴミ焼却炉に行き、そこで焼却されて埋められるという運命をたどる。それでは、原発から出る廃棄物はどこに行くのだろうか。
原発から出る廃棄物は、極端にいうと行く場所はない。現在は最終処分場までの中間的な施設、もしくはとりあえずの保管場所に行っている。一般的に考えられている方法は、廃棄物を特殊な箱に密閉し、地中深くに埋めるという方法だ。一般の廃棄物とは違い、原発から出る廃棄物は放射性物質の問題があるため、こういう形を取り、厳重に処理するわけだ。
しかし、一部の国では進められているものの、この方法はまだ実現段階とは言えず、実際に実行するとなると、様々な問題が生じるため日本ではまだ確立されていない。つまり、「廃棄物が管理される場所の放射性物質の影響がないか」とか、地中深くに埋めるということだが、その埋める場所も災害にあわないことが前提で、そうなると「本当に災害の影響が出ないか」ということで課題が残るわけだ。さらに、埋めて終わりではなく放射性物質の影響は、気が遠くなるような長期間の管理が必要になってくる。
そういうわけで、日本では中間貯蔵施設もなかなか確立できない状況で、最終的な処分施設はまだ実現できていない状況だ。「原発の廃棄物をどうするか」ということで、一つの希望があったのは、福井県にある高速増殖炉もんじゅであった。このもんじゅは簡単に言えば、原発から出る廃棄物(厳密に言うと、再処理したもの)を利用するからである。しかし、これも事故といったトラブル続きで、現在でも研究段階どまりで実現のめどはたっていない。
そうなると廃棄物の運命は、前者の特殊な箱に密閉し、特殊に処理した地中で埋めて管理する方向になってくるが。
崖っぷちにきてようやく動き出した……
そうした問題を抱えつつ、これまで原発を動かしてきたわけだが、3.11の東日本大震災により福島第一原発事故が発生し、放射性物質の問題がいきなり舞い降りてきた。原発事故により、周辺地域に放射性物質の問題が生活レベルで非常に近い問題になり、「これらの汚染問題をどうするか」が早急に求められている。
10月29日、政府は福島第一原発事故で放出された放射性物質の除染に関し、汚染された土壌や廃棄物の中間貯蔵施設建設へ向けた基本的な考え方と工程表を福島県側に明示した。その内容は、建設場所は福島県内とし、遅くとも2012年度中に選定し14年度をめどに搬入を始めるとした。ただし、本格搬入は15年1月。貯蔵期間は30年以内に区切り、最終処分は県外で行うことも含めて進めるという。この中間貯蔵施設の運用開始は3年後をめどとし、それまでは各市町村に設ける仮置き場に保管する。
この中間貯蔵施設の容量は、約1,500万から2,800万立方m程度で、敷地面積は約3から5平方km。除染後の廃棄物の大部分は土壌で、濃度に関係なく全てを中間貯蔵施設に保管する。枝や落ち葉は焼却し、1キロ当たり10万ベクレルを超える灰が搬入され、それ以下の灰は既存の管理型処分場に埋める。
中間貯蔵施設には、大気と地下水での放射性物質の有無を検出する装置を設置し、仮置き場からの搬入を加速するため、小さな区画を複数作り、完成した所から搬入を開始。
また、中間貯蔵施設への保管方法は汚染度ごとに変え、高濃度の廃棄物の場合、放射性物質の漏れを防止するために地中を細かく仕切った鉄筋コンクリート製構造物を設置し、完全に埋める。廃棄物は容器に入れ小分けにし、搬入後は蓋で覆う。
一方の低濃度の廃棄物の場合は、穴を掘って小分けにして積んでいき、放射性物質を含んだ水が漏れないように遮水壁で囲み、搬入後は土をかぶせる。
これらの中間貯蔵施設ができるまでは仮置き場に保管するわけだが、仮置き場は汚染土壌などを小分けにして地上に積み、盛り土をして土嚢で覆い、雨水を流入、地下水への放射性物質の漏れを防ぐ。
(つづく)
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TPPは果たしてどうなのか(下)
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は「関税」だけでなく、全ての「非関税障壁」の撤廃を謳っている。そのため、デメリット(問題)として挙げられることは、
・関税撤廃で農業分野が打撃を受ける
・「混合診療」の全面解禁や株式会社の参入で公的医療保険が縮小する
・遺伝子組み換え作物の表示、残留農薬などの食品の基準が緩められる
・公共事業の発注ルールや日本郵政の簡易保険への影響
などがある。TPP加盟国は、ビジネスの「障壁」を除くために国内規制の緩和を求められることになる。
そうした影響から、TPPは米など主要農産物を含め、全品目の関税撤廃が原則なため、有効な対策がないまま撤廃すると、道内だけでも影響額は関連産業を含め1兆円を超えるとの試算がある。
しかし、中国や韓国の経済圏が日本経済を襲うという問題もある。米韓FTAが話題を集め、韓国の経済協定の動きが活発になっている。そうした動きから、日本の外国との経済関係に不安が出ており、TPPといった経済体制に注目が集まったりする。ただし、国によって環境は違ってくる。韓国経済の輸出に関わる割合(約45%)は日本の割合(約15%)と比べて大きいそうだ。そうした環境もあり、韓国では外国との協定が重要度を示す。
韓国の米韓FTA事情
そんな韓国でも、米韓FTAは韓国国内でも賛否両論が強かったという。経済界は、自動車の関税撤廃による輸出拡大などの経済効果を期待し、FTAに賛成。しかし、農業関係者は生産額が減少、雇用も減るとして反対。米国との貿易規模は増えても米企業だけが利益を上げ、弱小であるほとんどの韓国企業は利益が減るという分析もあるそうだ。
さらに、米韓FTAではこんな条項があるという。
・サービス市場を全面的に開放する。例外的に禁止する品目だけを明記する
・一度規制を緩和すると、どんなことがあっても元に戻せない。狂牛病が発生しても牛肉に輸入を中断できない
・未来最恵国待遇。今後、韓国が他の国とFTAを締結した場合、その条件が米国に対する条件よりも有利な場合は、米国にも同じ条件を適用する
・自動車分野で韓国が協定に違反した場合、または米国製自動車の販売・流通に深刻な影響を及ぼすと米企業が判断した場合、米の自動車輸入関税撤廃を無効にする
・韓国に投資した企業が、韓国の制作によって損害を被った場合、国際投資紛争仲裁センターに提訴できる。韓国で裁判は行わない。韓国にだけ適用
・米国企業が期待した利益を得られなかった場合、韓国がFTAに違反していなくても、米国政府が米国企業の代わりに、国際機関に対して韓国を提訴できる
・韓国政府が規制の必要性を立証できない場合は、市場開放のための追加措置を取る必要が生じる
・米企業・米国人に対しては、韓国の法律より韓米FTAを優先適用
・知的財産権を米が直接規制。例えば米国企業が、韓国のWEBサイトを閉鎖することができるようになる
・公企業の民営化。つまり米国企業が、公共企業を乗っ取って料金を上げるということもありうる
といった内容だ。これは米韓FTAの中にある条件で、TTPとは違ってくる。しかし、全てが全て違うということにもならないのではないだろうか。
そのため、TPP交渉に参加するためには、交渉力が必要だ。この力がないと交渉に参加したが最後に、TPP参加は必須になってしまう。
TPPが国内経済・社会に与える影響のデメリットを挙げてきた。しかし、TPPは単なる経済体制だけではなく、国際的な国と国との情勢にも深く関与している。アメリカとアジアのグループとして、中国対策を行っていくというシナリオ。中国をも飲み込んだ体制。それとも、中国主導になるアジアの中でやっていくのか。
ロシアは最近、中国との結び付きを強めているが、それは表面的で実は、日本のTPP参加を望んでいる、という声もある。
それに、ベトナムやマレーシアが参加に動いた背景には、国内の改善も含め、中国の影響を注視した上でもある。
それに問題は、日本がTPPに参加しなかったとしてのTPP体制がうまくいった場合、日本がこれまで享受してきた国際的な経済の流れも影響は出てくるだろう。その影響はどこまでになるのだろうか。
ただし、TTPに参加していない国もある。このことも考慮しないと、今後のTPPへのメリット・デメリットの行方も変わってきそうだ。
TPPだけで、これだけの影響と動きがみられるということは、今後の国際情勢にも大きな影響が出るということであるだろう。ただ、問題なのは、国際情勢、外交と日本国内の影響が深く対立することになりそうだ。
(おわり)
【参考資料】
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